ここで会ったが木曜日

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森猛 伊亮

森猛 伊亮
中学校卒業後、不動産屋や大工、果ては証券屋やボーイなど様々な経験をつみながら、デンジャラスかつクレイジーな生活を経て、2013年より独立。

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王将の苦悩の話

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いやいや歩君よ。
 
きみアレかい?
 
ゆとりってヤツかい?
 
前へ一つ以外の仕事は嫌って、何よ?
 
君アレよ。
 
もうちょっとね。
 
こう、横とか後ろとかさ、あるやん?
 
仕事って。
 
いや堅実なんは分かるというかアレなんやけどね、たまにはこうバァーっと進んだりさ。
 
若いんやからもっとこう、アグレッシブに動いても良いんじゃない?って、おじさんは思う訳ですよ。
 
 
 
 
とは言えね。
 
香車くんはアレよ?
 
ちょっと君はアグレッシブさが過ぎやしないかい?
 
いやおじさんそういう姿勢は嫌いじゃないよ?
 
なんかこう脇道に外れずダバァーっと行く感じ。
 
決して嫌いじゃない。
 
むしろ好感が持てる。
 
でもね?
 
 
 
なんか不安。
 
超不安。
 
 
 
たまには一歩下がるとかさ。
 
いや分かるよ?
 
振り返る暇も惜しんで突き進む事も大事な事やから。
 
 
 
おじさんにもそういう時期があった。
 
 
 
でもアレよ。
 
それでもせめて斜めとか横とかさ、ちょっと他の動きも覚えていかんと苦しくなるから。
 
パンクしちゃうから。
 
ちょっと余裕を持っていこうね?
 
君なら出来るから。
 
中々良いものは持ってるから。
 
 
 
 
で、桂馬くん。
 
君はアレよ。
 
 
 
君はもうよう分からん。
 
 
 
いや理解は出来るよ?
 
君みたいなトリッキーかつスペシャリストな人もおらんとね。
 
会社は回らんから。
 
けどね、やっぱりアレよ?
 
 
基本は大事やから。
 
 
せめて前に一歩だけでも進める様になろうね。
 
後、アレはあかんよ。
 
君アレするやん。
 
先輩とかピョイって頭越しで行く事あるやん?
 
 
 
アレは失礼。
 
超失礼。
 
 
 
いや分かるよ?
 
気持ちは凄ぇ分かる。
 
こんな時代やし。
 
実力主義の時代やし。
 
相手に飛び込んで行く時なんかは、もちろん頼もしく感じるよ?
 
でも角さんとか優しいから怒らんけど、見てるこっちがヒヤっとするから。
 
 
 
ちょっと怖いから。
 
あのピョイっていく感じ。
 
 
 
その辺ね。
 
基本と礼儀。
 
それだけ。
 
おじさん古い人間やからやかましい事言うかも知らんけど、大事な事やから。
 
頼むね。
 
頼りにしてるから。
 
 
 
じゃあみんなー。
 
頼むでー。
 
 
 
 
 
あー、銀ちゃん。
 
久しぶりやね。
 
元気にしてた?
 
いやいや、銀ちゃんの働きにはなんの文句も無いよ。
 
もう長い付き合いやしさ。
 
働きにはもちろんなんの文句も無い。
 
けど、ちょっと気をつけて欲しい所があってさ。
 
言いにくいんやけど、銀ちゃんちょっとアレやん?
 
仕事上手い事出来たらちょっと態度変わるやん?
 
 
 
金さんみたいな顔するやん?
 
 
 
アレちょっとやめてくれへん?
 
やっぱりさ。
 
アレやん?
 
実るほど頭を垂れる稲穂かなって言うやん?
 
徳光さんも言ってたやん?
 
んであの子らみんな、それこそ歩くんとかまで若い子はみんな銀ちゃんの背中見てるからさ。
 
みーんな銀ちゃんの真似する訳。
 
みんな仕事がちょっと上手い事いったら、金さんみたいな顔する訳。
 
クルッと掌返したみたいに。
 
 
 
アレ良くないよね?
 
感じ悪いし。
 
 
 
しかもみんな態度が変わるだけじゃなくて、今までの長所とかも消えちゃうからね?
 
歩くんの堅実さとか香車くんのアグレッシブさとか桂馬くんのトリッキーさとか。
 
銀ちゃんにしてもそうよ?
 
斜めに引くとか金さんにも出来ない銀ちゃんの必殺技やねんから。
 
そういうとこはさ、やっぱり謙虚にいこうや。
 
いや、飛車さんとか角さんぐらいのベテランになって、自分の出来る事プラスアルファで他に出来る事増やすんは、もちろんアリやけどさ。
 
今自分の出来る事捨てるんはもったいないやん?
 
まぁ若い子達の見本にならなあかんからさ。
 
俺達。
 
頑張っていこうや。
 
うん。
 
俺ちょっと金さんと角さんとこ行ってくるから。
 
また飲みに行こな。
 
近いうちに。
 
 
 
 
 
 
お疲れ様です。
 
金さん角さん。
 
忙しいとこすみません。
 
いやもうお二人の働きにはね、いつも感謝してます。
 
金さんのなんでもこなせる上にいざという時には一歩引ける勇気。
 
しかも、いくら仕事が上手くいっても態度が変わらない人格者。
 
もうアレですよ。
 
若い子らなんか『いつか金さんみたいに成りたい、金さんみたいに成りたい』ってみんな言ってますもんね。
 
 
 
 
角さんは角さんでね。
 
もうアレじゃ無いですか。
 
 
無敵ですもん。
 
 
名前がもうアレですもんね。
 
 
角さんですし。
 
 
僕も長い事王将やってて、まぁ水戸黄門じゃないですけどそういうポジションに居させて貰ってね。
 
角さんの重要性って言うんですかね。
 
そういうのをヒシヒシと感じてます。
 
水戸黄門は印籠出してるだけで、僕もこうヤバくなったらみんなに任せたりするんでね。
 
やっぱりいつの時代にもね。
 
実際に動いてるのは角さんで、しかもいざと成ったら色んな方向もカバーして下さるんでね。
 
物凄く助かってます。
 
 
 
 
いや、今日お二人に時間作って頂いたのはね。
 
ちょっと相談したい事がありましてね。
 
あの、飛車さんいるじゃないですか。
 
僕ね、あの人ね。
 
 
 
なんか怖いんですよね。
 
 
 
いやまぁもちろんね、仕事は出来る人なんですよ。
 
凄い助かってる部分は確かにあるんです。
 
でもね。
 
 
 
ちょっとやり過ぎじゃないですか?
 
 
 
もうなんかアレじゃないですか。
 
急にブーンて行くじゃないですか?
 
あんな事されたら僕ちょっと制御出来ませんもんね。
 
 
しかも。
 
しかもですよ。
 
 
ちょっとこの前チラッと見えたんですけどね。
 
あの人、背中にね。
 
 
 
 
龍の入れ墨入ってますよね?
 
 
 
 
怖過ぎますよね。
 
普段はなんかシュッとしてますけど、あんな入れ墨見せられたら周りいっぺん全部威圧されますもん。
 
 
 
怖過ぎますよね。
 
 
 
いや、みんなそう言うんですよ。
 
 
いざとなったら切れば良いって。
 
 
でもあの人、切ったら切ったでこっちに向かって来そうじゃないですか?
 
もうあんな入れ墨見せられながら近くまで来られたら、僕負けますもん。
 
だからお二人にはね。
 
もしもの時。
 
もしもその時が来たら何卒よろしく頼みますね。
 
 
 
 
それで僕自身もね。
 
今まで色々な経験させて貰って、お陰様で一通り全部の仕事は出来る様になったんですけどね。
 
やっぱりその分、最近は行動範囲が狭くなってきたんでね。
 
角さんとか飛車さんとか香車くん見習ってね。
 
たまにはバァーっていったりね。
 
桂馬くんみたいに特殊な仕事も出来る様に頑張るんでね。
 
めっちゃ頑張るんでね。
 
これからもよろしくお願いします。
 
 
 
そんな、中小企業のおじさんが藤井棋聖ブームに乗って駒の動かし方を覚えてみたらちょっと最近動きが悪いなと反省した話。