私は今、新潟にいる。
本来なら今日は自宅のある広島でのんびりと休日を満喫していたはずなのが、先の台風の影響で鉄道が混乱しそうなので、夏季休暇を早めに切り上げて出張先の新潟へやって来た。
昨年の冬に新潟へ訪れた時は、しんしんと雪が降り積もり、辺り一面それはそれは美しい銀世界であった。
夏バテ気味の愛犬おもち君や家内には申し訳ないが、灼熱の広島よりは雪国新潟の方がいくらかは涼かろうと、まるで避暑地にバカンスに行く様に、私はルンルン気分で新幹線に乗り込んだ。
だが、広島から電車を乗り継ぎ六時間。
降り立ったこの場所は、灼熱の広島なんぞが可愛く思える程の極熱の地であった。
どうやら、フェーン現象なるものが発生しており、今現在日本で一番この場所が暑く、ヤフーによると気温は四十度を超えているらしい。
とにかく暑い。
というか、ここまでくると暑いというよりは熱い。
ヤフーが言う四十度というのは、あくまでも日陰の温度であり、カンカン日差しのアスファルトの上などは、恐らく四十二、三度はある。
四十二度といえば我が家の風呂の設定温度と同じ熱さである。
ということは、外にいるだけで頭から足先まで風呂に浸かっているのと同じ熱さということである。
これはヤバイ。
ただ立っているだけでのぼせてくる。
ほとんど蒸し器に入れられた小籠包の気分である。
しかし、これだけ暑いとなーんにもやる気が起こらない。
元々幼稚園児並みの集中力しか持たぬ私に、この暑さであれば無理もない。
とはいえ、本日中には当記事を書き上げないと、スケジュール的に今週は書く暇が無い。
これは困った。
別に誰かに頼まれて更新している訳でも無いので『今週は作者急病の為休載』と、すれば良いのであろうが、私は顔に似合わず妙に律儀なところがあるので、それはちと気が引ける。
たがしかし、先程エアコンを最強にしてシャワーを浴び、伝家の宝刀しろくまアイスまで食したが、それでも全然やる気が出ない。
が、よく考えるとこの時期、私と同じ様に暑さにやられていたり、夏休みボケであったりとなかなかやる気の出ない読者の方も多かろうと思う。
という訳で、今週の『ここで会ったが木曜日』は。
私が編み出した、どんなにヤル気が出なくてもしっかりと行動が出来るようになる、とっておきの秘術を皆さんにお教えしたいと思う。
盆休み明けに仕事が始まってイマイチ仕事が捗らない貴女や、夏休みの宿題がたんまり残っているのに見て見ぬふりをしている君。
又、風呂に入るのをめんどくさがっている間にユーチューブループにハマってしまい、いつまでも風呂に入れない貴方必見である。
これは効く。
まずこの秘術には、ライトバージョンとハードバージョンがある。
ライトバージョンは、ちょっとした悲しい事や落ち込む事があったりして、少しやる気が削がれた時に使うものである。
例えば、週末しっかり休んで、『さぁ今週も頑張るか』と出勤したところ、月曜日の朝礼で次長あたりからいきなり軽い小言をくらった時。
あるいは処理したと思っていた仕事が実は出来ていなくて、焦った状態で商談に出掛けたりするあのモヤモヤする、ヤル気の出ない時等に使う。
要するに、ちょっとした事でモチベーションが下がった時に、応急処置で少し回復してやる方法である。
名付けて『わっしょい法』という。
やり方は至って簡単。
口に出して『わっしょい』と言う。
ただそれだけである。
なんだそれと思ったそこのあなた。
一度声に出して言ってみて欲しい。
さぁ、ご一緒に。
『わっしょい!』
なんか楽しいやろ?
そう。
理由も意味も分からんが、『わっしょい』はなんか楽しいのである。
少し自分の中で空気が悪かったり、ちょっと落ち込んでヤル気が出ない時、ただ単に『わっしょい』と言うだけで何となく楽しい気分になるのである。
調子に乗って来て、『わっしょい、わっしょい』と連呼する内に♪そーれそれそれお祭りだ〜♪と、お嬢ひばりが脳内に出てくればもう大丈夫。
ほとんどの場合ヤル気は回復し、凄く楽しい気分になる。
その勢いで、仕事や家事や勉強に精を出せばよろしい。
だがしかし、この『わっしょい法』には致命的な欠点がいくつかある。
まず、そもそもこの方法は、ちょっとしたモチベーションの低下に対応するもので、イライラしている時に嫌いな部長から理不尽ノルマを押し付けられる等の、物凄ぇモチベーションが落ちた時。
あるいはユーチューブ見始めたら関連動画に面白い動画が次々と出て来て風呂に入れない等の、モチベーションとは関係無くヤル気が出ないには全く効果が無い。
ましてや人前で突然『わっしょい』とか言い出したら、ちょっと変な人と思われるであろう。
元々変な人である私は問題ないが、この稿をお読みの読者の方が、周囲から変態と思われるのもマズイので、万能であり、かつ強力なハードバージョンであるもう一つの秘術。
名付けて『乗っ取られ法』というのも合わせてご紹介する。
この秘術は読んで字の如く、何者かに自身の身体を乗っ取られる。
全然意味がわからんと思うが、まぁ聞いて欲しい。
まず、自身の身体を乗っ取る『何者か』を決める。
これは何だって良い。
宇宙人とか怪獣とかウィルスとか、何だって良い。
そしてその『何者か』に身体を乗っ取られる、、、
と、説明しようと思ったが自分で言っててもさっぱり意味が分からんので、手っ取り早く手本を見せたいと思う。
ここから下記は自分の脳内で行う。
もちろん『何者か』と『私』は一人二役で行う。
何者か『へっへっへ。私は風呂入れ星人だ。貴様の脳内に直接話かけている』
私『何!?風呂入れ星人だと!?何だ!?どうなっているんだ!?』
風呂入れ星人『はっはっは。聞こえたか?私はユーチューブばっかりみて中々風呂に入らない地球人を風呂に入れる為に、第七銀河からやって来た風呂入れ星人だ!今からお前を風呂に入れる』
私『何をバカな事を。私はノンスタイルの漫才を後二本程観てから風呂に入るんだ。邪魔をするな!』
風呂入れ星人『貴様!昨日はそう言ってからサンドイッチマンのコントを二時間も見て寝るのがめちゃくちゃ遅くなったではないか』
私『うるせぇ!俺たちは自由なんだ!』
風呂入れ星人『地球人ごときが偉そうに何を言うか!かくなる上はホレ!』
私『うわぁ!何をする!?』
風呂入れ星人『貴様の身体は乗っ取った!このまま風呂に連れて行く!』
私『うわぁー!やめろー!』
風呂入れ星人『黙れ地球人!』
私『うわぁぁぁ!』
風呂入れ星人『フッフッフ。やっと大人しくなりよった。まず、頭から洗ってやる』
と、いう事をする。
するとあら不思議。
知らぬ間に風呂に入ってパジャマに着替えている。
これは凄い。
この『乗っ取られ法』は結構有用で、かなりめんどくさい事にも大抵は使えるし、どんなにイライラしていても、そのバカバカしさから笑ってしまう事もある。
何と素敵な事であろうか。
おそらく完璧な方法である。
誰にだって全然なぁーんにもやりたくない時はある。
そんな時はなぁーんにもやらずにボーっとするのが一番良いに決まっているが、中々そういう訳にはいかない。
やりたい事をやる為に、やりたく事をしなければならない事もままあるし、そんな時はヤル気が出ずに動けなくなる事もよくある。
それでも、どうしても何かをしなければいけない時、そんな時は一度試して欲しい。
物凄ぇバカバカしいが、結構効く。
最後に一つ『乗っ取られ法』には注意点が。
当たり前であるが、人様の前では絶対に口に出してやってはいけない。
『わっしょい法』の何倍も変な人に思われるのでご注意を。
そんな、ブログ更新星人が私の身体を乗っ取りながら書いた話。
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