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森猛 伊亮

森猛 伊亮
中学校卒業後、不動産屋や大工、果ては証券屋やボーイなど様々な経験をつみながら、デンジャラスかつクレイジーな生活を経て、2013年より独立。

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華麗なる挑戦の話

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出張先のホテルで、さぁそろそろ寝るかとテレビを消そうとした瞬間、NHKからとんでもなくファンタスティックなビッグニュースが飛び込んで来た。

 

『カレーハウスCoCo壱番屋がインドへ進出』

 

もうね。

なんやろう。

 

凄ぇよ!

凄ぇワクワクするわ!

ワクワクが止まらんよ!

凄ぇよココイチ!

 

 

 

ココイチといえば、私達出張族の強い味方である。

 

孤児院出身の苦労人創業者が夫婦で始めた喫茶店から、全国どこに行っても同じ味のカレーが出てくる奇跡の、いや、夢のシステムを開発した偉大な会社である。

 

なぜ、ノーベル物理学賞、あるいは平和賞を受賞しないのか不可思議な程である。

 

その偉大な会社が偉大なる挑戦をしようとしているのである。

 

物凄く興奮した。

 

私史上で言うと『松井秀喜メジャーリーグ挑戦』以来の興奮したビッグニュースである。

 

なんというファイティングスピリッツであろうか。

 

皆さんよーく想い描いて欲しい。

 

インド人が握る寿司屋が、インド国内で流行ったので日本に上陸するのと同じ事である。

 

なんとなくスパイシーな寿司が出てきそうな気がする。

 

最近インド人の友人とは、あいにく交流が途絶えておるので確認しようが無いが、彼らからみると日本人が作るカレーというのは、なんとなく醤油の香りがする気がするのではなかろうか。

 

もちろんイメージである。

 

私達は、イタリア人が陽気でブラジル人がサッカーが上手い等のほとんど信仰に近いイメージを持っている。

 

内気なイタリア人や、サッカーが下手クソなブラジル人がいる事はよーく理解している。してはいるが、やっぱりイメージというものがある。

 

このイメージを覆すという事は並大抵の事では無い。

 

『若いから食え』という謎のイメージからの無茶理論をかます社長に、少食の新人が大盛りを断るくらいに難しい事である。

 

しかも相手は本場、本家本元、本物中の本物である。

 

向こうにもプライドというものがあろう。

 

アメリカでラーメン屋を開くのとは訳が違うのである。

 

 『てやんでぇ!大阪人の打った蕎麦なんか食えるかよ!』と言う江戸っ子に江戸前蕎麦を打ったり、『アホ!東京もんの焼いたタコ焼きなんか食えるかい!』と言う大阪人にタコ焼きを焼く様なものである。

 

美味い不味いの前に、まず口にしてくれるのかという所からの勝負である。

 

 

 

過去、私が世界一美味いと信ずる『餃子の王将』が、同じ様に意気揚々と中国に殴り込みをかけ、ボッコボコにされて帰ってきた。

 

2005年に進出し、その後十年間で二億以上の赤字を叩き出した。

 

掛け値無しの大惨敗である。

 

現地での材料調達に苦戦し、日本にある店舗の味を再現出来なかったなど、敗因は色々あったらしいが、根本的に中国人にとっての『餃子』とは、日本人が言うところの水餃子であり焼き餃子では無いし、そもそも、中国人にとって餃子は主食であってオカズではない。

 

そら負けるよ!

大阪人が東京で蕎麦打って焼そばにして『江戸前蕎麦です』って言い張ったら、そら負けるよ!

 

やってる当人達にとっては誠に痛恨事であろうが、見てる側からすると『ナイスファイト!』という気持ちと共に、関西人として壮大なボケにツッコミを入れた様な心境になり、一生王将の餃子を食い続けようと思ったニュースでもあった。

 

何とか、ココイチには王将の弔い合戦(死んで無いし中国全然関係ないけど)をして頂きたいと思う。

 

 

 

今回のインド進出は、ココイチ積年の悲願であったらしい。

 

2013年に世界一店舗数が多いカレーチェーンとしてギネスに認定された時も、ココイチの社長は『インドに店が無くて世界最大と言えるのか!』と息巻いたそうだ。

 

なんとエキセントリックな会社であろうか!

 

ある種の美しさを感じる。

 

言うだけあって用意も周到である。

 

アジア各国に進出しているココイチであるが、去年にはイギリスに出店したそうだ。

 

なぜイギリスなのか。

 

カレーが日本に伝わったのは明治時代で、当時イギリスの殖民地であったインドから、イギリスを経由して普及したから。

 

だ、そうだ、、、

 

なんとロマンチックな会社であろうか!

 

美味しい料理を日本人に教えてくれたルートを、感謝を込めて逆から辿り、自分達が美味しいと思う日本のカレーを普及させようという事らしい。

 

私の様な凡人には到底理解出来ないセンスである。

 

しかも、王将が単騎で中国に乗り込んだのに対し、ココイチは天下の三井物産とタッグを組んでインドへと向かう。

 

進出にあたり、両社で合同出資会社を設立し、出資額は約三億円、三井物産が60%、ココイチが40%の出資割合であるという。

 

現地の営業権などは三井物産が担当し、ココイチは店舗運営や商品開発に専念する。

 

ガチンコ勝負である。

なんとなく執念を感じる。

 

ここまでやれば、よもやの返り討ちは無い気がする。

 

 

 

私が子供の頃、野茂やイチローや松井が海を渡ってアメリカに行った時、とてもワクワクしていた。

 

いつか自分もああなりたいと、夢を抱いてワクワクしていた。

 

しかし、おっさんとなり自分はメジャーリーガーになれないと知った今では、大谷君や錦織君が世界で活躍しても、へぇー。凄いなー。としか思わなくなっていた。

 

そんな折、このニュースに出会い凄くワクワクしている。

 

まさか自分の会社がここまで大それた事が出来るとは到底思わないが、私を含めたかつて少年であった全国の中小企業経営者に、夢を与えるニュースであると思う。

 

ココイチは最近値上げをして、高くなったなと感じていたところであったが、壮大なインド挑戦の応援代であると思えば安いものである。

 

とても大きな勇気をもらった。

 

いちココイチファンとして、たくさん食べることで精一杯応援したいと思う。

 

 

 

てな事を、このテンションのまま家内に電話したところ『ふーん。おやすみ。早く寝なさいよ』と冷たくあしらわれた。

 

うーむ。

 

そうは言われても、興奮して眠れそうにも無い。

 



そんな、悟空VSブロリーみたいな話。