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森猛 伊亮

森猛 伊亮
中学校卒業後、不動産屋や大工、果ては証券屋やボーイなど様々な経験をつみながら、デンジャラスかつクレイジーな生活を経て、2013年より独立。

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世界一うまいカレーの作り方を開発した話

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人生において困難や逆境に直面した時、その局面を打開する為に大切な事が三つある。
 
その三つの事とは何か。
 
それはもちろん勇気と覚悟。
 
そしてそう。
 
 
 
カレーである。
 
 
 
人生でどれだけ苦しい場面に遭遇したとて、勇気をふり絞り、覚悟を持って、カレーを食っていれば何とかなるのである。
 
 
いや間違えた。
 
 
別に勇気やら覚悟やらが無くたって、カレーさえ食っていれば何とかなるのである。
 
 
そらそうよ。
 
 
昔、アゴの長いプロレスラーが言っていた。
 
『元気があれば何でも出来る』と。
 
裏を返せば、元気が無いと何にも出来ないのである。
 
 
これは正しい。
 
絶望的に正しい。
 
すぐに疲れて元気が無くなる、か弱きおじさんには良く分かる。
 
 
では、即座に何でも出来る様に元気を出すにはどうしたら良いか、答えは簡単。
 
 
ヒロポ…。
 
 
間違えた。
 
現在は戦前ではなく令和であった。
 
危うくエリカ様とランデブーするところであった。
 
 
答えは簡単。
 
 
カレーである。
 
 
カレーには流石にヒロポン程の速攻性はないが、どう考えても人を元気にする力がある。
 
あの食欲をそそる芳しい香り、口一杯に広がるスパイスや食材の旨味。
 
 
一口食べれば、ほら元気。
 
 
法規制されていないのが不思議である。
 
 
今後インドと何らかの貿易摩擦等が起きた際、カレーを返せと言われれば、日本は未曾有の金融危機に陥るであろう。
 
NTT位はごっそり持って行かれても何ら不思議ではない。
 
外務省にはインドとの外交に細心の注意を払って頂く事を切に願う。
 
 
 
 
さて本題。
 
という事で、昨今の国難、いやむしろ、地球難のこの事態。
 
世界を救う為には、うまいカレーが必須であると私は考えた。
 
 
 
要するに、暇だったのである。
 
 
 
本日は家内と義母であるババ様が昼食後に、コロナの影響で暫く行けなかった美容院と洋服などのお買物、更には二ヶ月振りの外食をしてくるとの事だったので、お留守の私と愛犬おもち君は、昼から物凄ぇ暇だったのである。
 
なので私は日頃の感謝の意味も込めて、二人が帰って来るまでに世界一うまいカレーを作成し、一晩寝かせて明日二人に振舞おうと決意した。
 
 
しかし。
 
しかしである。
 
 
さっき。
 
ほんのついさっき。
 
 
一晩寝かせるまでもなく、恐らくではあるが私は世界一うまいカレーを食べた。
 
ちょっとインドの人とかに怒られるかも知らんが、多分世界一うまい。
 
 
只事では無いうまさであった。
 
 
なので。
 
 
 
 
今週のココモクは、私が開発した多分世界一うまいであろうカレーの製造方法をここに大公開したいと思う。
 
インドの人も恐らくぶったまげる程うまいカレーの製造方法を大公開したいと思う。
 
 
 
尚、私はほとんど料理の経験が無い。
 
 
 
では早速、必要な材料から公開する。
 
必要なものは以下の通り。
 
 
牛肉
玉ねぎ
ほうれん草
白菜
人参
バナナ
だしの素
コンソメ
コーヒー豆の砕いてるヤツ
ヨーグルト
カレールウ
暇な時間六時間
スマホ
 
以上である。
 
 
これだけ。
 
 
たったこれだけで、世界一うまいカレーが出来る。
 
後で説明するが、たったこれだけの材料の中にも別に無ければ無いで問題ないものも沢山ある。
 
しかし、私はこの材料を駆使する事によって世界一うまいカレーに辿り着いた事は揺るぎない事実であるので、一応全て書き置く。
 
 
 
では、具体的な工程手順を説明してゆく。
 
 
 
まず牛肉を切って茹でて、茹でたお湯を捨ててから、新しいお湯を沸かして牛肉をまた茹でる。
 
なぜ一旦茹でて、湯を捨てて、また湯を沸かして茹で直すのか。
 
 
 
全く意味が分からん。
 
 
 
しかし、肉を茹でる時はこうした方が良いらしい。
 
多分下茹でとかいうヤツだと思う。
 
以前、家内が牛すじ煮込みを作っている時に、『なんでそんな事するん?』と聞いたら。
 
 
『おもち君にご飯あげて』
 
 
という、矢吹ジョーみたいなクロスカウンターが飛んで来たので多分必要な工程なんだと思う。
 
 
そして、そうして茹でた肉は、ザルに上げておく。
 
 
 
次は野菜。
 
まず、玉ねぎの皮を剥いてみじん切りにした後、弱火で炒める。
 
カレーの基本は玉ねぎ。
 
と、昔ちびまる子ちゃんのお母さんが言っていたので多分本当である。
 
で、ある程度炒めたら、ほうれん草と白菜と人参もみじん切りにして炒めていく。
 
 
なぜみじん切りなのか。
 
 
切った私にも分からない。
 
何かいい感じの大きさに切ろうと思っていたのだが。
 
 
 
気付いたらみじん切りになっていた。
 
 
 
というか、どちらかと言うとみじん斬りという感じである。
 
 
 
で、野菜を炒めていい感じにシナシナになってきたら、ここに先程炒めた玉ねぎをブチ込んで、更に火をかける。
 
 
なぜ玉ねぎを一緒に炒めないか。
 
 
ヤボな事は言いっこなしだぜ。
 
 
 
 
で、この野菜達を弱火にかけていると、ちょっとひく位水分が出てきた。
 
激辛麻婆豆腐食ってる内山君かな?って位水分が出てきた。
 
 
 
ドン引きである。
 
 
 
しかし、これを見逃す手は無い。
 
これは恐らく〝無水調理〟とやらをやるチャンスである。
 
 
無水調理=うまい。
 
 
と、上沼恵美子が〝おしゃべりクッキング〟で言っていた気がする。
 
 
多分。
 
 
多分とは言え、上沼恵美子の言葉である。
 
無視する訳にはいかない。
 
私だってもう少しは生きたい。
 
 
そこで、この野菜達に牛肉をぶち込んで、だしの素とコンソメで味を整える。
 
 
 
ここまで所要時間およそ二時間。
 
めっちゃ疲れてきた。
 
 
 
しかし、ここで辞める訳にはいかない。
 
家内とババ様の為、引いては世界全体の平和の為である。
 
そこから二時間ひたすら弱火で煮込んで、味見をしてみた。
 
 
 
 
べらぼうにうまい。
 
 
 
 
多分私には天才的な料理の才能がある。
 
ほぼ料理の初心者にも関わらず、この時点でちょっと考えられない位うまいスープが出来た。
 
ここにカレールウをぶち込めば、恐らく相当うまいカレーになる。
 
まぁ、料理なんてものは数学と同じで、イコールの右側に〝うまい〟をいれて、左側に式を作っていく作業である。
 
 
余裕である。
 
 
私は花の中卒なので、数学なんてやった事も無いが、多分そんな感じである。
 
 
しかしながら今回目指すカレーは〝相当うまいカレー〟ではなく、〝世界一うまいカレー〟である。
 
その為には、何かが足りない。
 
 
そこで。
 
 
ここから隠し味を投入してゆく。
 
まず何が足りないかというと、甘さがたりない。
 
うまいものには甘さがある。
 
牛丼でも天丼でもコーラでも、甘さが無いとうまくない。
 
 
 
福山だって、甘い声が無いと只の変態の男前である。
 
 
 
なので、バナナを投入した。
 
私はいついかなる時も、バナナを信頼して生きてきた。
 
甘くてうまく、更にはばぁちゃんが『バナナは身体に良い!』と念仏の様に唱えていた。
 
だから私はバナナが大好きであるし、バナナさえ食べていれば死ぬ事は無いと、信頼というよりほとんどバナナを信仰している。
 
なので。
 
 
 
結構な量のバナナを投入した。
 
 
 
すると。
 
 
 
鍋の中が味がほとんどバナナになった。
 
 
 
ビックリした。
 
 
 
先程までべらぼうにうまかったスープであったものが、今や薄味のあったかいバナナジュースである。
 
 
ちょっと牛肉の味がする薄味のあったかバナナジュース。
 
 
 
吐きそうである。
 
 
 
いやいや、焦ってはならない。
 
ここから少し煮込めば味が整うはずである。
 
それに、バナナを投入した目的である〝甘みを足す〟というのには成功した。
 
きっとうまくなる過程である。
 
 
 
 
で、甘さの次に足りないのは何か。
 
そう。
 
苦さである。
 
私も今や三十四歳、大人の男である。
 
甘さだけを求める子供ではなく、苦味も分かるお年頃である。
 
では大人の苦味とは何か。
 
そりぁもう、一つしか無い。
 
コーヒーである。
 
いや違う。
 
 
 
カァーフィーである。
 
 
 
いや、やっぱコーヒーである。
 
 
 
で。
 
私はいつも朝食の際に甘い缶コーヒーを飲むのだが、家内とババ様が朝に飲んだり、会社に来たお客さんに出す時に使う、何か高そうなコーヒー豆を砕いた粉みたいなアレを投入した。
 
 
するともう御察し。
 
 
 
苦い牛肉味の薄味あったかバナナジュースが出来た。
 
 
 
ちょっとアレ。
 
 
流石にちょっと焦るよね。
 
 
 
 
まぁしかし、煮込めば何とかなるはずである。
 
整うはずである。
 
後アレ。
 
やっぱり根本的に決定的に足りないものがあるはず。
 
やっぱり、『人生酸いも甘いも噛み分けなくっちゃ』とかいう位なので〝酸い〟即ち、すっぱいものが必要なはずである。
 
なので、ここで満を侍して投入。
 
 
 
ヨーグルトさん、出番です。
 
 
 
今更改めて説明するまでもないが、ヨーグルトさんは発酵食品である。
 
発酵食品とはなんか色々身体に良いとみのもんたが言っていたし、私の計算では発酵した菌達がバナナやコーヒーとかもなんかうまい事取り込んで、いい感じにしてくれるはずである。
 
 
なので。
 
 
私は躊躇する事なく、勇気を出して覚悟を決めて、ヨーグルトさんをドバッと投入した。
 
 
 
冷蔵庫に存在するヨーグルトさんを根こそぎ全部投入した。
 
 
 
すると。
 
 
 
 
でかいヨーグルトさんが出来た。
 
 
 
 
ちょっと意味が分からんだろ?
 
 
 
 
要は、鍋の中が全部ヨーグルト味。
 
牛肉や野菜やダシの旨みとか、バナナの甘さやらコーヒーの苦味。
 
そんなもんは全部ぶっ飛んで、鍋の中が全部ヨーグルト味。
 
早い話が鍋サイズの肉入りヨーグルト。
 
 
 
 
私はここまで五時間かけて、でかい肉入りヨーグルトを作ったのである。
 
 
 
 
と、思うのは早計であると私は考え直した。
 
ババ様達が帰って来るまで後二時間はある。
 
カレーは煮込み時間が大事。
 
と、誰だかが言っていた気がする。
 
多分六三郎とかが言ってた気がする。
 
しかも、ここにカレールウを入れるのである。
 
もしかしたら、カレールウを入れる前段階では、うまいカレーは全部こうなるものなのかも知れない。
 
 
 
 
なので私はここから一時間。
 
この状態から更に煮込んで、味見をしてみた。
 
するとビックリ、想定外であった。
 
 
 
 
何も味が変わっていない。
 
 
 
 
鍋の中のそれは、でかいヨーグルトのままであった。
 
 
 
 
更に、カレールウを入れてみたらもっとビックリした。
 
 
 
 
ほんのりカレー風味の茶色いヨーグルトが出来上がった。
 
 
 
 
絶望。
 
 
 
 
テメェの枕からおじさんの匂いがした時以来の絶望感であった。
 
しかし絶望している場合ではない。
 
私は世界一うまいカレーを食う為に、ここまで六時間を費やしたのである。
 
 
失敗は成功のマザー。
 
 
長嶋監督もそう言っていた。
 
なぜマザーだけ英語なのかはさっぱり意味が分からんが、とにかくそう言っていた。
 
 
 
なので、私はここから一気に動いた。
 
世界一うまいカレーを食う為に、一気に動いた。
 
まず、茶色いヨーグルトをタッパーに詰めて冷凍庫にぶち込んだ。
 
これは後日、究極に腹が減った時に少しずつ解凍して食べることにする。
 
そして洗い物をする。
 
めちゃくちゃになった台所をそのままにしておくと、家内とババ様に叱られるはずなので、そこはもう完璧に何も無かった様に元通りに復元する。
 
 
 
 
 
で、ここから。
 
世界一うまいカレーの製造方法はここからである。
 
ここまでの話はここに至るまでの過程であるので、読者の皆さんは当然やらなくて良い。
 
 
 
全部無視して良い。
 
 
 
世界一うまいカレーを作るのに大切なのはここから。
 
ここからの手順を間違えなければ、世界一うまいカレーの製造方法は確実に手にはいる。
 
では、早速手順を説明する。
 
 
 
 
まず、私は手元にスマホを取り出した。
 
そして、住まいの地域名プラス〝CoCo壱番屋〟と入力した。
 
そして、最寄りのココイチに電話をして名前と住所を伝え、元気良く。
 
 
『量と辛さは普通で、納豆と豚しゃぶトッピングで!後、とび辛スパイス下さい!』と言った。
 
 
元気良く言った。
 
 
するとなんと、三十分程でカレーが配達されたので、お金を渡してカレーを受け取った。
 
そのカレーに家にあるソースと、別に注文したとび辛スパイスをかけるとあら不思議。
 
 
 
そこには世界一うまいカレーが出来ていた。
 
 
 
もし、あなたがお住まいの地域が配達エリア外の場合は、スマホで最寄りのココイチを探して現地に赴き、カウンターに座って元気良く。
 
 
『量と辛さ普通で、納豆と豚しゃぶトッピングで!』と言う。
 
 
元気良く言う。
 
 
するとビックリ。
 
五分やそこらでカウンターにカレーが出されるので、目の前にあるソースととび辛スパイスをかければ、そこには世界一うまいカレーが出来ている。
 
 
食材調達、調理、片付け、という手順を全部吹っ飛ばし、しかも六時間という膨大な時間もかける事なく。
 
『量と辛さは普通で、納豆と豚しゃぶトッピングで!』
 
と、元気良く言うだけで世界一うまいカレーが出来上がるのである。
 
正に夢のシステムである。
 
 
 
 
 
さて、話は思いっきりシフトする。
 
言うまでもない事だが、外食産業がコロナの影響でどエライ事になっているという。
 
私の知人が勤めている食品問屋の業績も悲惨な事になっているそうだ。
 
日本の労働人口の7人に1人は、食に携る仕事に従事している。
 
ここが崩れれば、めちゃくちゃな事になる。
 
そして、真の世界一うまいカレーを作るババ様や世界二位の家内の様に、毎日料理を作る人間も色々な意味でクタクタであろうと思う。
 
当然、むやみやたらに飲み歩いたりするのはいけない事だとは思うが、たまには息抜きしないと誰も得せずのおかしな事になりそうな気がする。
 
色々対策しながらね。
 
何と言って良いか分からんが、なんかこう、うまい事いけば良いなと思う。
 
とりあえずね。
 
膨大な量の茶色いヨーグルトも、うまい事年内に夜食として消費出来たら良いなとも思う。
 
 
 
そんな、餅は餅屋の話。