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森猛 伊亮

森猛 伊亮
中学校卒業後、不動産屋や大工、果ては証券屋やボーイなど様々な経験をつみながら、デンジャラスかつクレイジーな生活を経て、2013年より独立。

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バレンタインにおはぎブーム起こそうぜの話

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我々和菓子党は完璧に迫害されている。
 
もうあれ。
 
俺達は隠れキリシタンや広島の巨人ファンくらい迫害されている。
 
 
いつからこうなった。
 
 
いつからこの国は、タピタピ、タピタピ言うようになった。
 
きみらあれか。
 
 
 
タピりんか?
 
 
 
タピりんって何?
 
俺も知らんよ!
 
今作った言葉やから!
 
 
 
 
手元の経済誌によると、洋菓子より和菓子を好むという人は世代にもよるがおよそ10%前後とのことである。
 
 
これは凄まじい数字である。
 
 
〝和〟即ち日本菓子vs〝洋〟つまり外国菓子の対決で、10%も日本菓子を好む人がいるのである。
 
これは凄い。
 
日本菓子を好む日本人は単純計算で1200万人もいるのである。
 
 
対して、洋菓子派は90%。
 
その数およそ1億とんで800万人。
 
で、これを国連加入国数の195で割る。
 
 
当然である。
 
 
〝洋〟とは外国全てを含むので、フランス菓子を好む人も、台湾菓子、或いはエジプト菓子なんかを好む人も含まれているはずですある。
 
ちょっと待って。
 
計算してみる。
 
 
 
55万。
 
たった55万人しかいない。
 
1200万と55万。
 
奇しくも、私の生涯最高年収と最低年収に近い数字が叩き出された。
 
めちゃくちゃ不安定な人生である。
 
 
1200万と55万。
 
これはもうフリーザとクリリンの戦力差とかいうレベルの話ではない。
 
黒柳徹子。
 
フルパワーの黒柳徹子と吉田沙保里くらいの戦力差がある。
 
いくら吉田沙保里が霊長類最強であれ、フルパワーの黒柳徹子が鼻息を吹いただけで吹き飛ばされる。
 
和菓子党と洋菓子党にはそれくらいの戦力差がある。
 
 
 
にも関わらず。
 
我々和菓子党は迫害されている。
 
誰や。
 
コンビニのレジ横に大福じゃなくて焼き鳥置き始めたんは。
 
どら焼きに生クリーム入れ始めたんは。
 
オレンジの7か?緑の家族の店か?まさか貴様か青い牛乳缶!?
 
もう許さん。
 
俺は許さんよ。
 
お前ら洋菓子党に目に物見せてやる。
 
空前の和菓子ブーム起こしてやるよ!
 
 
 
と、思い立ったら何と来週はたまたまバレンタインデーである。
 
これを利用しない手は無い。
 
バレンタインにチョコレートを送るという文化は、かのモロゾフが普及させたそうだ。
 
それなら大丈夫。
 
モロゾフと私であれば、クリリンとフリーザくらいの戦力差はあるが、徹子と沙保里ほどではない。
 
大企業対ただのおじさんの戦いであるが、まぁその辺は雰囲気で何とかする。
 
 
で、私は考えた。
 
 
和菓子と一口に言っても幅は広い。
 
過去の洋菓子のブームを鑑みても、ティラミス、ナタデココ、生チョコ、タピオカと、何か一点集中で流行してきた。
 
決して〝洋菓子ブーム〟なんてものは来なかった。
 
〝スイーツブーム〟といった言葉はあった様な気がするが、多分気のせいである。
 
 
 
何か一つ。
 
愛を伝える為に最適な和菓子は何かないものか。と私は考えた。
 
大福も良いが、どら焼きも良い。
 
ドラえもんがイメージキャラクターになる画まで見える。
 
敢えて甘くない煎餅という手もある。
 
 
 
いや…。
 
ある。
 
女性が愛を伝えるのに、最適な和菓子が一つある。
 
 
 
おはぎ。
 
 
 
ここは、おはぎの選択肢しかない。
 
まず名前が可愛い過ぎるし…。
 
〝おはぎ〟って…。
 
もう可愛い過ぎるやん。
 
 
しかも、おはぎは名前が可愛いだけの半端なお菓子ではない。
 
 
おはぎには、大きく分けて四つの種類ある。
 
まず、全国で定番のあんこ、きなこ。
 
そして西日本で定番の青海苔と、東日本の定番胡麻がある。
 
なので、おはぎは〝送る側の女性のタイプ〟によって、〝どのタイプのおはぎを送るか〟を選択出来る極めてバレンタインに相応しいお菓子となっている。
 
 
ちょっと意味がわからんやろ?
 
 
要は、自分の性格や見た目によって、愛を込めて送る〝おはぎ〟の種類が選べる。という夢のような話なのである。
 
 
 
とは言え、ここまで読んだ全国の〝おはぎビギナー〟の女性達の中には、自分がどのおはぎを送れば良いのかを考えると、不安で夜も眠れない方がいると思う。
 
そこで。
 
おはぎ玄人であり、全日本おはぎ協会非公認のおはぎソムリエである私が、どのおはぎがどの様な女性に適しているのかを軽く説明しようと思う。
 
まぁ聞いてくれ。
 
 
 
尚、普通こういう記事には途中で写真が入るものだが、この記事には以後一切写真は入らない。
 
これは、これを書いている私が〝記事中に写真を入れるやり方がわからない〟という技術的な致命傷を負っている事も大きな要因であるが、何よりも映えない。
 
 
おはぎは、圧倒的に映えない。
 
 
絶望的に地味な画になる。
 
泥みたいである。
 
なので、ここから先も冒頭以外は一切写真は入らないが悪しからず。
 
 
 
 
ではまず、あんこから。
 
何この圧倒的主役感。
 
 
太陽。
 
 
これはもう、銀河系における太陽と比較してもなんら遜色が無い。
 
おはぎがおはぎたらしめる理由は、このあんこが存在するからと言っても過言ではない。
 
むき出しの魅力を隠す事なく常に全力勝負。
 
眩いばかりにツヤのある質感。
 
 
 
なんか凄く元気な感じがする。
 
 
 
私の全てを見てよ!
 
と、チャームポイントを全面に押し出すそのスタイルは、掛け値無しの元気っ子である。
 
超天真爛漫。
 
 
とは言え、このあんこ。
 
 
 
ただアホみたいに元気な訳ではない。
 
 
 
実はその力強いあんこの下には、白く柔らかいモチ米が隠されているのである。
 
それはあたかも強がってはいても、時には優しさゆえに傷ついてしまう純粋無垢な乙女心の如くである。
 
実は、超優しくて繊細。
 
 
圧倒的主役であり、天真爛漫。
 
それでいて、純粋無垢な底抜けに優しい心を持っている。
 
それはもうあれ。
 
山口智子。
 
 
 
あんこのおはぎは山口智子である。
 
 
 
なので、自らを山口智子タイプだと思われるご婦人は、自らの分身としてあんこのおはぎをプレゼントされればよろしい。
 
唐沢もメロメロである。
 
 
 
何?
 
それを言うなら〝広瀬すず〟って?
 
 
うるせぇよ。
 
 
うまい棒でも食ってろ。
 
 
 
 
では続いては、きなこ。
 
こちらはやはり、特質すべきは何をおいてもその上品さである。
 
うっすらと化粧を施したそのさまは、食べる事が躊躇される程美しい。
 
 
その姿は、雪化粧を纏った富士山に通ずるものがある。
 
 
圧倒的な気品を感ずる。
 
 
とは言え、決して富士山の様に近くに行けばゴミだらけ、という悲惨な訳ではない、
 
むしろ近くによればその気品に隠された、あんこという力強さに感銘を受ける。
 
それはあたかも透き通るような透明感を持つ女性と対峙した瞬間、思いがけない芯の強さを感じた時に似ている。
 
圧倒的な美貌と気品を身にまとい、それでいて心の芯には強い意志を持ち、しかもその強さを包み込むモチ米のように柔らかい優しさを兼ね備える。
 
これはもう確定。
 
満場一致で確定。
 
 
 
きなこのおはぎは、加賀まりこである。
 
 
 
もう一度言う。
 
若者達が、あまりピンときていないようなのでもう一度言う。
 
 
加賀まりこである。
 
 
若者はググれ。
 
なので、自身が加賀まりこタイプだと思われる貴女は、ありったけの愛を込めて、きなこのおはぎをプレゼントすればよろしい。
 
 
 
何?
 
それを言うなら〝ガッキー〟って?
 
 
そやな。
 
 
それは一理ある。
 
訂正する。
 
自らを加賀まりこ、あるいはガッキータイプだと思われるご婦人は、きなこおはぎをプレゼントされたし。
 
 
 
 
では続いて青海苔。
 
青海苔…
 
青海苔…。
 
海苔…。
 
海苔…。
 
のり…。
 
のり…。
 
 
 
 
 
 
 
のりピーーーーーーーーーーーーーーー。
 
 
 
 
 
 
ごめん間違えた。
 
流石にあかん。
 
ふざけ過ぎた。
 
これが十年前であれば、青海苔と碧いうさぎをなんか上手い事しているところであるが、時代は変わった。
 
いや、時代はシャブった。
 
 
 
さて、気を取り直そう。
 
青海苔おはぎの魅力と言えば、なんと言ってもその意外性である。
 
東日本にお住まいの方々には余り馴染みがないかも知らんが、青海苔おはぎはめちゃくちゃ美味い。
 
初めて食べた時は衝撃であった。
 
カレーと納豆級のインパクト。
 
もっとわかりやすく言うと、蒼井優と山ちゃんくらいのインパクトである。
 
 
なぜか不思議と調和するのである。
 
 
ブッチギリの個性派で、近づき難いのかな、と思いきや、実はめちゃくちゃ優しくて周りとの調和を重んじる。
 
 
夏木マリ。
 
 
青海苔おはぎは、夏木マリではないか。
 
 
なので、自らを夏木マリタイプだと思われる方は、最大限の愛を込めて、青海苔おはぎをプレゼントしよう。
 
 
 
 
で、最後に胡麻。
 
胡麻は香ばしい。
 
なので、日焼けの似合う健康的な、例えば安室ちゃんみたいなタイプの女性は、胡麻おはぎをプレゼントすればいいんじゃなーい。
 
おわり。
 
 
 
えっ?
 
何?
 
 
 
 
べ、べ、別に飽きてへんわ!
 
 
 
 
うん。
 
本当に飽きていない。
 
ただ、のりピーで笑い過ぎて手が震えているので、これ以上原稿が書けないだけである。
 
健康美女タイプの方々、手抜きでごめんね。
 
 
 
 
で、ここまで読んだけど、私四種類のどこにも属してないし、和菓子党なのにおはぎブーム乗れないよー。と、お嘆きの貴女。
 
 
まだ大丈夫。
 
バレンタインまで時間はある。
 
 
おはぎは、その人のなりや気分によって、いかようにも変化させる事が出来る。
 
例えば、『わたし可愛いピンクが良いのー』という可愛い系女子の方であれば、おはぎの上にサクランボでも乗せれば良い。
 
 
あるいは、『今旦那と喧嘩中でバレンタインのプレゼントなんかしたくない』という貴女は、あんこの代わりにカラシでも入れとけばよろしい。
 
多分旦那は号泣して喜ぶし、あまりのアホらしさに仲直りも出来る。
 
 
 
 
〝おはぎ〟は、いかなる愛の形をも表現出来る、バレンタインにおける最高のパワーアイテムなのである。
 
我々和菓子党は、このバレンタインおはぎブームを足掛かりに、洋菓子党へ反旗を翻さなければならないのである。
 
和菓子党の同志達よ。
 
今こそおはぎブームを起こそうではないか。
 
コンビニのレジ横の和菓子コーナーを取り戻そうではないか。
 
今こそ、徹底抗戦の時である。
 
 
 
 
 
但し、私の家内はあんこが大の苦手なので、今日のところはモロゾフのチーズケーキをお土産に持ち帰ろうと思う。
 
明日から徹底抗戦しようと思う。
 
 
そんな、色々な愛の形の話。
 
 
 
 
今週の『ここで会ったが木曜日』は、ご覧のスポンサーから一切提供を受けずにお送りしましたが、あまりにも美味いので勝手に宣伝します。
 
『♪おっはっぎーの丹波屋っ♪』