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森猛 伊亮

森猛 伊亮
中学校卒業後、不動産屋や大工、果ては証券屋やボーイなど様々な経験をつみながら、デンジャラスかつクレイジーな生活を経て、2013年より独立。

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スポーツのテレビ中継コンテンツ、野球が最強説の話

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この秋、十九年振りの顔合わせとなった巨人VSソフトバンクのプロ野球日本シリーズに日本中が揺れた。
 
 
 
というのは真っ赤な嘘で、なんかみんなラグビー観てたな。
 
揺れたのは、四連敗を食らったパキパキの巨人ファンである私の心でだけであった。
 
動揺し過ぎて、お茶と麺つゆを飲み間違え盛大に吹き出した。
 
 
物凄ぇビビった後、ちょっとチビった。
 
 
事実、日本シリーズ第二戦の視聴率7.6%に対して、同日行われたラグビー日本対南アフリカ戦は41.6%と五倍以上の大差をつけてラグビーの圧勝。
 
もっというと、この前日に行われた日本シリーズ開幕戦の視聴率が8.4%に対し、アイルランド対ニュージーランド戦のラグビーは6.5%と、日本代表が出ていない試合でも、ほぼダブルスコアでラグビーが圧勝。
 
日本開催で初めて行われたラグビーワールドカップであった事、更にはラグビー日本代表の躍進など様々な要因が絡んでこの様な数字になったのであろう。
 
正にお祭り騒ぎ。
ラグビーフィーバーであった。
 
 
 
そりゃ国の代表VS国の代表であるラグビーと、セリーグの代表VSパリーグ代表の野球を比べたらそうなるで、兄ちゃん。
 
と言われるかも知らんが、現在開催中の野球プレミア12の日本代表戦の視聴率も20%を超えるのがやっと。
 
もしラグビーの日本代表戦と放送日が被っていれば、更にこの数字は下がっていたであろう。
 
どちらにせよ、視聴率の面で野球はラグビーに対してダブルスコアの惨敗。
 
もちろん視聴率だけでその人気を比較出来るものではないが、少なくとも2019年の秋においては、日本人は野球よりラグビーを観ていた。
 
というかごめんジャイアンツ。
 
かくいう俺も、ちょっとラグビー観てた。
 
 
いや、間違えた。
 
 
結構観てた。
 
巨人が敗色濃厚になってからは、7:3でラグビー観てた。
 
今じゃすっかり松島幸太朗ファンである。
 
めちゃくちゃ興奮した。
 
 
 
 
で、この機会に幸太郎の勇姿を代表戦だけでなく普段のリーグ戦でも観てぇなと思い調べたのだが、ラグビーのリーグ戦は地上波やBSの無料放送では放映していないようだ。
 
ラグビーのリーグ戦を観るためには、何かしらの有料チャンネルに加入しなければならない様である。
 
 
タダで幸太郎は観られない。
幸太郎はなんともお高い男である。
 
 
まぁ、観たいんやったら金払え。という話であるが、仮に有料チャンネルに加入したとしても私は仕事の都合上年間300日くらいは出張に出ている。
 
まさかスカパーに加入したからといって、出張先のホテルには放映してくれまい。
 
スマホ配信という手もあるようだが、極度のメカ音痴の私に使いこなせる自信もないし、そもそもスポーツ配信を小さな画面で観てもあまり楽しくなかろう。
 
ということは、私は四年間幸太郎を観る事は出来ない事になる。
 
 
物凄ぇ悲しい。
 
 
そういやこの様な悲しみは、平昌五輪後のカーリング、ロシアワールドカップ後のサッカーでも味わった。
 
どうしてこうなる。
 
 
 
 
ずいぶんと前から野球人気の凋落が叫ばれてきたが、野球のテレビ中継は地上波及びBSを含めた無料での放映が結構やっている。
 
たとえば、私が住居を構える広島なんぞでは、広島カープが年間に行う143試合中100試合以上が地上波やBSで無料で放送される。
 
それに対し、サッカーのサンフレッチェ広島の試合は34試合中4試合のみ。
 
しかもその全てがNHKの放送であり、民放はゼロ。
 
もちろん、野球とサッカーの歴史や人気の差はあると思うが、ここまで露骨に違いがあるのはいささか違和感をおぼえる。
 
サッカー以外のスポーツにしてもそう。
 
野球以外のスポーツが無料で中継されるのは、日本代表の試合や大きな大会がほとんどで、各スポーツのリーグ戦などレギュラーシーズンの放映は物凄く少ない。
 
 
というより野球の無料放送だけが異様に多い。
 
 
なぜ野球だけ飛び抜けて多いのか。
 
という、どうでも良い事をウンウンと考えた結果。
 
それはもしかしたら〝野球〟というコンテンツが、スポーツ中継、こと無料中継に関して他のスポーツより抜群に融和性の高いキラーコンテンツだからなのではなかろうかと思った。
 
 
スポーツのテレビ中継には、野球が最強説。
 
 
私は別にテレビ関係者でもなんでもないただの野球好きのおじさんであるが、その理由を四つくらい思いついたので勝手に書く。
 
尚、単純な競技人口や人気、スポーツの歴史やルールのわかり易さなどは一切考慮していない。
 
 
 
 
まず第一の理由は、フィールド上にいっぱい人がいる。
 
卓球やテニスは二人か四人でやるスポーツであるので、その中に贔屓の選手がいないと基本的に観ない。
 
よっぽどその競技自体が好きな場合でない限り、嫌いな選手が出ている試合は基本的に観ない。
 
その点野球やサッカー、マラソンなどは一度にフィールド上にいる人数が多いので、贔屓の選手が出ている可能性がグッと増える。
 
私はパキパキの巨人ファンであるが、嫌いな選手が二人いる。
 
しかし贔屓の選手がたくさんいる。
 
嫌いなヤツだけしかいないチームなら、決して試合は観ないであろう。
 
要するに、ソロアーティストより、48人いるグループの方が売れやすい原理と同じである。
 
いわゆる、推しメンが出場する可能性が高い。
 
 
 
 
第二の理由は年間試合数が多い。
 
野球は年間レギュラーシーズンだけで、143試合もこなす。
 
サッカーは34試合プラス各カップ戦。
ラグビーは21試合。
 
単純に数が多いということは、それだけたくさん放送する機会があるということである。
 
サッカーなどはその分チーム数がたくさんあるが、試合はほとんど同日に行われるためテレビ中継という観点でいうとあまり意味がない。
 
一日に30試合しても放送枠がないので、1試合を30日した方が放送されやすいということである。
 
 
 
 
第三の理由は、実力による勝敗差がつきにくく、入れ替え戦がないこと。
 
野球というスポーツは勝敗差がつきにくい。
 
優勝チームでも勝率が六割を超えることは滅多になく、最下位のチームでも四割を切ることは稀である。
 
つまり、10回やれば少なくとも4回くらいは勝つ。
 
毎日勝ったり負けたりする。
 
サッカーや相撲の様に無敗優勝とかは起こらず、更に、サッカーであればJ2や相撲であれば幕下といった下部組織との入れ替え戦がない。
 
これにより毎試合放送したとしても負け続けて盛り下がることが起こりにくく、毎年どのチームが出場するか確定していると放送スケジュールが組みやすい。
 
ずっと負けてたらつまらんし、誰が出るかわからんものをスケジュールに組むのは勇気がいる。
 
 
 
 
そして四つ目、最後にして最大の理由はCMの入れやすさ。
 
野球やゴルフなどは、攻守交代やコースの移動など、プレーとプレーの間にCMを入れる事が出来る。
 
対して、ラグビーやサッカーなどはプレーが中断する時間が限られている。
 
 
ラグビーならハーフタイムの10分。
サッカーでも15分。
 
 
しかもこの時間絶え間なくCMを流し続ける訳にはいかないので、前半戦の振り返りや後半戦の見所などの解説を入れる事になり、その時間はグッと縮まる。
 
 
これではCMを入れる事で収入を得るテレビ局にとってはうまみが少ない。
 
 
単純にCMを入れる時間を比較した場合、ラグビーやサッカーを放送するのであれば、少なくとも野球やゴルフの三倍位は視聴率を稼がなければ広告料を獲得するには割に合わない事になる。
 
もちろん事はそんなに単純ではなく、視聴者層の違いや企業のイメージアップなどを勘案する必要があるが、まぁだいたいそういう計算になるであろう。
 
 
民放のテレビ局にとって〝顧客〟とは視聴者ではなくスポンサー。
 
 
コンテンツを消費するのは視聴者であるが、金を払うのはスポンサー。
 
ずいぶんと寂しい話ではあるが、スポーツとは興行、つまり金儲けのコンテンツであることは紛れもない事実なのでこれは仕方ない。
 
 
 
 
以上の四つが全て当てはまるスポーツは、私が知る限りでは皆無。
 
ゆえに、野球は無料のスポーツ中継コンテンツでは最強である説をここに提唱する。
 
学者でもテレビ関係者でもなんでもない、ただの野球好きおじさんがここに提唱する。
 
 
なぜそんな事を提唱するのか。
一体誰が得をするのか。
 
 
 
そう。
 
私は、これを読んだ野球中継担当のテレビ局の方へ向けて勝手にプレゼンをしているのである。
 
プレミア12の視聴率が思ったより悪くても、これだけ野球はスポーツ中継に適しているのだから来期も変わらず放送してねと、圧力をかけているのである。
 
来期も巨人の中継やってねと、圧力をかけているのである。
 
後、ワイプでCMを流し続けても良いから、幸太郎とカー娘とガンバ大阪もたまには放送してねと、圧力をかけているのである。
 
ただそれだけの話である。
 
 
そんな、水曜日をパクった木曜日の話。