月曜日の倒し方、、、
そんなもんは無い!
あいつは化け物やから戦うな!
休め!
以上。
と、一旦は当記事を締めようと思ったのだが、よく考えるとそういう訳にもいくまい。
そう。
月曜日とは、ただの曜日ではない。
ここ日本では、サザエさん症候群なる病を引き起こし、欧米ではブルーマンデー症候群なるものを引き起こす、人類最大の敵『ゲツヨウビ』の仮の姿なのである。
この大敵『ゲツヨウビ』はとても厄介で、一度戦闘を回避すると翌日には『カヨウビ』というトンデモない化け物に進化する。
更に、この『カヨウビ』はあまりにも強そうなのでと戦闘を回避すると、我々人類では到底勝ち目の無い『スイヨウビ』に進化する。
ここまでくると、我々人類の負けは必死。
どれだけバイト先から鬼電が入っても、決してそれに出る事は出来なくなり、最も恐ろしいクセに物凄ぇ味方みたいな顔をした『マイニチガニチヨウビ』に食い殺され、めでたくバイトをバックれてしまう。
これは怖い。
私は若かりし頃、一度この大化け物に食い殺された事があり、二ヶ月ほど美しきインテリOLのヒモに成り下がっていた経験がある。
当初、働かずに食う飯はそれはそれは美味かったが、一ヶ月を過ぎた頃には飯が喉を通らなくなり、それはそれは物凄ぇ罪悪感であった。
ごめんな信子(実名)。
そんな訳で。
今週のココモクでは、第二、第三の信子を作らぬ為にも、皆さんの一週間の始まりを気分良くスタートする為にも、人類最大の敵『ゲツヨウビ』の倒し方を二つご紹介したいと思う。
これは結構使える。
尚、美容師の方は『カヨウビ』、不動産屋の皆さんは『モクヨウビ』などと、各自で自由に置き換えのほどを。
まず一つ目の方法は、最もお手軽で私もたまに実行するのだが、リターンに対するリスクがあまりに高く、しかも使い手を選ぶ中々の悪手であるので、あまりオススメはしない。
この戦法の名は『マイニチガキンヨウビ作戦』という。
そもそも、ゲツヨウビがゲツヨウビたる所以は、土曜日と日曜日が存在する事により、その凶悪さが担保されている所にある。
つまり、土曜日と日曜日のウキウキ感が強過ぎるのである。
ある人はソファの上にいるのが心地良過ぎるし、ある人は嫁と遊ぶのが楽し過ぎるし、ある人は一人でいるのがラク過ぎるのである。
そらそうよ。
人はめんどくさい事はしたくない。
全然したくない。
だが給与や報酬とは、基本的にその『めんどくさい』の対価なので、仕事に行くという事は当然、『めんどくさい』の連続となる。
私達は、じゃがいもを北海道まで買いに行くのがめんどくさいから、八百屋に金を払うのである。
しかし、休日にはもちろん給与や報酬が発生しないので、その『めんどくさい』が激減する。
ソファでゴロゴロしてても良いし、嫁と公園に行っても良いし、嫌いな部長と会わなくても済むのである。
そりゃウキウキするよ。
超するよ。
で、その『めんどくさいフリー』の状態から、土日の間にたんまりと溜まった仕事をこなさなければならい『めんどくさいラッシュ』へ叩き落とされる落差こそが、ゲツヨウビの恐ろしさの正体である。
更にゲツヨウビには、営業や販売職においては『今週の目標』という仮面を被った『先週の未達の犯人探し』という厳(おごそ)かなる会議が催される。
この会議を別名『吊し上げ』という。
これが又めんどくさい。
もうね。
全然行きたくない。
自分が未達の犯人だった時などは通勤電車の中で、『正恩(ジョンウン)今や!今ボタン押せ!』とか思う。
これは良くない。
凄く良くない。
こんな事で世界を破滅させてはならんのである。
では、この『めんどくさいフリー』から『めんどくさいラッシュ』への落差を無くす為にはどうすれば良いのか。
そう。
答えは簡単。
『めんどくさいフリー』を放棄すれば良いのである。
すなわち、ずっとめんどくさいままにしていれば良い。
ずっと仕事をしていれば良いのである。
何となくマリーアントワネットの匂いがするが、土曜日と日曜日さえなければ『ゲツヨウビ』は、ただの月曜日に成り下がるのである。
ずっと金曜日であれば、恐ろしいゲツヨウビは永遠に出現しないのである。
なんたる妙案。
しかし、私は昔会社員時代、会社に隠れてこの手を使い続けたところ、見つかる度に物凄ぇ怒られた。
それはそれは怒られた。
あったり前である。
こんな事を繰り返していると、心身共に受けるダメージは半端ではない。
私は最近、これを多用し過ぎて馬鹿デカイいぼ痔が出来たし、その昔、私の元同僚は心を痛めて半年間の休養を余儀なくされた。
というか、完璧に労働基準法違反である。
正に悪手。
とんでもない危険性をはらんだ悪手である。
だがしかし、私は現在『しゃちょー』である。
しゃちょーとは、従業員が嫁と犬と若手営業マン一人しかいない、小さな会社の法律上の代表者である。
しゃちょーには労働基準法なんぞは適用されない。
しかも、しゃちょーはエライので、その権限によりこの作戦を発動し放題なのである。
決して、社長の様に偉い訳ではない。
しゃちょーは常にエライこっちゃなのである。
仮に当社の若手営業マンがこの作戦を取れば、私はしゃちょーの矜持を持って彼にバックドロップをかまさなければならないが、私は『ゲツヨウビ』があんまりにも恐ろしいので、いまだにこの作戦をたまに使用する。
部下や嫁や犬には怒られるが、しゃちょーはエライので、たまにならやっても良いのである。
全国のフリーランスやしゃちょーの中で、この作戦を既に実行している皆さん。
気持ちは分かる。
物凄ぇ分かる。
ゲツヨウビ怖いもんな。
しかも常にエライこっちゃやし。
しかし、あんまり多用するとデカイいぼ痔とか出来て周りにとんでもない迷惑掛けるから、あんまり使うのやめような。
因みに、それ以外の人は絶対やったらあかんよ。
たまに見かけるけど。
そして、万が一こんな危険な作戦を強制している会社にあなたがいる場合。
今すぐ逃げ出す事をお勧めする。
でなければ、あなたもいつか違う種類の『マイニチガニチヨウビ』に取り憑かれる危険がある。
絶対にやらない様に。
尚、余談ではあるが、昨日9月25日は『主婦休みの日』という記念日であった。
知らなかった主婦の亭主である貴方や、主夫の妻の貴女は、強制的に『マイニチガキンヨウビ作戦』を遂行させられているパートナーを今すぐ休ませませた方が良い。
気付かないかも知れないが、相当な激務に耐えながら作戦を常に遂行している。
悪いことは言わない。
絶対に休ませた方が良い。
さて、上記の作戦はかなり手軽ではあるが、使い手を選ぶし、何よりもリスクが高すぎる。
だが、これからご紹介する作戦はとっても手軽でありながら、リスクやデメリットは皆無であり、更に破壊力は絶大な為、ゲツヨウビなんぞは一蹴する。
その作戦の名は『プロジェクトX作戦』という。
この作戦は読んで字の如く、そのまんま。
あの『プロジェクトX』の力を借りる。
NHKとはぶっ壊すものではなく、困った時に力を借りるものなのである。
やり方はとても簡単であるが、皆さんの家庭内に〝ノリノリ家族〟がいるかどうかで、その作法が二種類に分かれる。
因みに我が家はノリノリ嫁を保有しているが、私は出張が多いので両方の作法で行なっている。
まず、ゲツヨウビとの決戦に向け用意するモノは一つだけ。
天才中島みゆきの『地上の星』のCDを1枚か、お持ちでない方はユーチューブが観れるスマホが1台。
これだけで良い。
そして日曜日夜に、CDプレーヤーか、ユーチューブの中島みゆき公式チャンネルで『地上の星』をいつでも流せる様にセッティングしておく。
これで準備は万端。
後は翌日の戦いに向け、しっかりと睡眠をとる。
するとあくる朝、目覚めたらそこには恐ろしき『ゲツヨウビ』が立ちはだかっている。
物凄く怖い。
戦う勇気さえ、湧いてきそうもない。
そこにあるのは『絶望』の二文字である。
だって昨日が楽し過ぎたから。
もう駄目だ。
絶対に勝てない、、、
俺達人類は絶対に勝てないんだー!
と、思ったところでCDプレーヤーのスイッチを押す。
すると、、、
♪ずーんずーん♪というイントロが鳴り響き、続いて♪風の中の昴〜砂の中の銀河〜♪と、流れてくる。
そしてそこで間髪入れずにノリノリ嫁が。
『この男…』
『これから…』
『戦う…』
と、例の口調でナレーションを入れる。
ノリノリで入れる。
そしてその後も。
♪みんなどこへ行った〜♪
『周りから…』
『馬鹿だ馬鹿だと言われても…』
♪見守られる事もなく〜♪
『この男は…』
『戦う…』
などとしてもらう。
すると、あら不思議。
その日の予定はクソみたいな会議と、溜まりに溜まったクソめんどくさい書類整理のはずなのに、なぜか社の威信をかけたロケット開発をしに行く気分になってゆく。
こうなると、我々人類の勝ち。
不思議と身体の内側から勇気が溢れ出し、胸は熱くなり、ゲツヨウビの事なんぞ気にもならないのである。
だって、俺が行かなきゃロケット飛ばないから。
行きたくないとかは言ってられないのである。
そして、その熱い使命感を胸に抱いて玄関を出た後も、脳内ではBGMとナレーションはかけっぱなしにすると尚良い。
朝から理不尽な小言を食らっても、めんどくさい書類が山積みになっていても、大抵の事は耐えられるのである。
だって、俺が耐えなきゃロケット飛ばないから。
尚、ご家庭にノリノリ亭主やノリノリばぁちゃんなどの〝ノリノリ家族〟がいない場合や、いたとしても出張に出かけている場合などはナレーションは自分でやる。
声に出しても良いし、脳内でやっても良い。
この場合も効果はあまり変わらず出るので、一人暮らしの人も安心して使える。
正に死角なし。
完璧な作戦である。
月曜日。
それは人によっては、とても憂鬱なものである。
別に仕事や学校が嫌いな訳じゃなくても、何となく気分が乗らない事も多い。
それはまるで、大玉ころがしの最初のひと転がしのようにしんどい。
何にしたってやり始めはしんどいのである。
仕事にしたって学校にしたって。
だが、一度転がってしまえばその後は意外とゴロゴロ転がったりする。
そう思えば、気は軽い。
そして、そのしんどい最初の一歩が踏み出せない時は一度この作戦を思い出してみて欲しい。
すんげぇバカバカしくとも、案外勇気が湧いてくる。
ただ本当は、学校や会社が行きたくて仕方がないくらい楽しみになれば、ゲツヨウビなんぞは出現しないはずなのだが。
人類がその境地に至るのは中々難しい。
そんな、終わりなき戦いの話。